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重国籍?

国籍法12条の法的根拠の一つは、重国籍を避けるため日本国籍留保の期間とその意思表示を規定するためと思われます。しかし、国籍法のどこにも3ヶ月という国籍留保の期間は書いていません。戸籍法49条と104条をあわせて読まないとわからないようになっています。なんともトリッキーな法律で、こんな法律を知らないからと子供の国籍を奪っていいのかと思いませんか。
戸籍法49条は、出生届の提出期限を決めたもので、国内にあっては14日以内、続いて括弧付きで(「国外で出生があったとき3ヶ月以内」)とあるだけです。「しなければならない」とありますが、これはどう見てもお願い規定でしょう。「提出期限の14日を1日過ぎているから出生届は受理できません、したがってこの子供はあなたの戸籍に載りません。」ということは起こりえません。そんなことをしたら、戸籍制度が崩壊してしまいます。ですから、戸籍法46条で、期限を過ぎた届出も受理しなければならないとなっているわけです。国外の場合はこの規定がなぜ適用されないのでしょうか。
国籍法12条と並んで互いに補完しあうのが、戸籍法104条です。この法律で、国籍留保の意思表示が3ヶ月以内の出生届の提出によって行われることが規定され、国籍法12条で出生のときにさかのぼって国籍を剥奪するメカニズムが完成します。
戸籍法104条は第3項でこの剥奪のメカニズムを例外のないものとしています。天変等がおきて大使館/領事館の業務がとまった場合でも、例えば、プレハブで業務を再開した場合はその日から14日以内に出生届を提出しなければ国籍は剥奪されます。「等」と書いてはありますが、大使館/領事館が業務をしている限り、例外は認めません。フィリピン大使館の指示により新宿区役所に出生届を提出し、出張の遅れから国籍を奪われたAさんのケースも、フィリピン大使館の職員が誇らしげに語った、正規の出生証明書ができるのに3ヶ月以上かかって国籍を失ったケースもやむをえない場合とはされないのです。
国籍の留保期間がたったの3ヶ月しかないことに合理的な根拠はありません。国籍法14条の国籍の選択は、まさに重国籍が存在することを認めて22才までに国籍を選択をすることを規定しているわけで、嫡出子だけに国籍の留保を求め、それを3ヶ月に限るというのはまったく合理性を欠いた不当なものです。出生届は単なる行政手続ですから、3ヶ月は目安で、国内の届出と同じ扱いをすべきではないでしょうか。国籍の選択がある以上、国籍留保の規定は必要がありません。
国民を守るべき政府が、世界人権宣言15条に違反し、国籍を本人の意思にかかわらず剥奪しています。

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