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Aさんの場合

国籍法12条の被害者が必ず聞く、役人の紋切り型の発言は、まず、「法律を知らないのは理由にならない。」、次に、12条の合理性を問うと、「私は、法律について感想を言う立場にない。」とくる。見事な官僚的言い回しではないか。外務省、法務省で、国籍法の研修があって、こんな言い回しを教えているのではないかと勘ぐってしまいたくなる。
今は、時々領事館のサイトやニュースレターなどで、出生届の3ヶ月の期限に注意を呼びかけているのを見ることがあるが、今でもおそらく大使館/領事館の中には出生届の提出期限についての注意書きは張ってはいないはずである。ましてや、Aさんが被害にあった15年前などは、どこにも注意書きなどなかったといいます。窓口で子供の出生について相談したときに始めて、国籍法12条による出生届の提出期限の事を説明することになっているようである。要するに一種の罠を仕掛けて、国籍を有無を言わせずに剥奪するのが手口ででした。途上国では、大使館の要求する正規の出生証明書ができるのに2ヶ月以上かかるのはざらである、Aさんの子供の国籍が剥奪されたときに、大使館の担当者は、自分の行為を正当化しようとしたのか、こう言ったそうです。「この間は、正規の出生証明書ができるのが遅れて出生届の提出が3ヶ月超えてしまった人がいましたが、その人の出生届も不受理にしました。」なんという人非人か。しかし彼とすれば、役人として法律どおりに判断したというのだろうが。法律そのものが悪なのである。
これは、交通違反をして、警察官とのやり取りのようなユーモラスな話ではない。相手は、子供を人質にしているのである「法律を知らないのは理由にならない。」の次に来る言葉は、「だから、あなたの子供の国籍を剥奪する。」である。
Aさんがこの言葉を聴いたのは、東京法務局のT柳氏との国際電話であったという。Aさんは4人の子供の認知届と末子の出生届を、フィリピン大使館の指示に従い、出張を利用して新宿区役所に提出したのだが、出張の遅れから、認知ならびに出生届けの提出が3ヶ月を超えてしまったというものである。4人の子供は、認知であるため国籍法12条は適用されず日本国籍が取れたが、末子は嫡出子のため国籍法12条の適用を受け、出生届が受理されなかった。これは、あまりに非人道的な仕打ちなので、法務省に善処方を文書で要求した。このためT柳氏に国際電話をしたわけである。
T柳氏、「出生について相談をしたというならば、大使館から3ヶ月の国籍留保について説明があったのではないか?」Aさん、「説明があったと思うが、近々ある出張を利用して、4人の子の認知届と一緒に出生届を日本で提出してくださいとの指示に従った。」この時、T柳氏が、「法律を知らないのは理由にならない。」と言った。ああこれで、子供の国籍は剥奪されるなと感じたそうである。誘拐犯と電話でやり取りをする親はこんな気持ちなのではないかと思ったそうである。T柳氏は圧倒的な立場にいる。Aさんは、怒りでいっぱいなのだが、ここで何とかしないと子供の国籍が剥奪されてしまう。怒りをこらえて、下手に出るしかない。「同時に国籍を申請した、5人の子供のうち4人に国籍が与えられ戸籍に記載され、法律上、より適合性の高い嫡出子に国籍が与えられないだけでなく戸籍にも記載されないのは、法律的に矛盾がある。この法律に正義があるとは思えない。この法律の目的は何なのですか。教えてください。」そして、T柳氏の言った言葉が、「私は、法律について感想を言う立場にない。」であった。
Aさんの怒りが爆発した、「T柳さん、あなたは法律の専門家でしょう。私が5人の子のうち1人だけ国籍を放棄することなどありえません。それはお分かりでしょう。子供は何の法律違反をしていません。その子がなぜ国籍を剥奪されるのですか。動物ですら、子供が攻撃されれば親は死に物狂いで戦います。こんな法律は法として存在できないのではないですか。」T柳氏は、「子供の国籍の授与方については、後日、正式に文書でおこなわれます。」と言い、電話は切れました。その1週間後、法務省はAさん宛に文書で末子の国籍を授与しない旨連絡してきたそうです。
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