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Saving Private Ryan

スティーブン·スピルバーグの映画「Saving Private Ryan」は彼が心から師事する黒澤明監督の「七人の侍」の影響を強く受けた、いわばスピルバーグ版の「七人の侍」です。男だけ4人兄弟のライアン家の3人兄弟が戦死したのを戦死公報のタイピストが発見して上司に報告するところから映画は始まります。このことをマーシャル将軍が知り、7人ならぬ、8人の兵士を戦線に送り無事末っ子のライアンを救出し母親の元に届けろと命じます。最初の20分を越えるノルマンディー上陸の戦闘シーンは映画史上に残る迫力があります。
このシーンでスピルバーグは私の積年の疑問に答えてくれました。それらは、1.上陸用舟艇は前扉が開くが、敵が銃口を集中している上陸地点で前扉を開けたらどうなるのか;2.今までの戦争映画では上陸用舟艇は砂浜に乗り上げ前扉が開いて兵士が上陸しているが、そんなにうまくいくものか、ですが、スピルバーグは前扉を開けたとたんに機銃弾が飛び込み兵士をなぎ倒し、さらにそれらの機銃弾は、上陸用舟艇の側壁で跳弾となって、一発で数名の兵士が倒されるという悲惨なシーンを映画史上初めて描きました。また、上陸用舟艇が、砂浜に到達するのはまれで、ほとんどがその手前で前扉を開けてしまうため、重装備の兵士は、水没しかなりが溺死してしまいます。これも戦争映画では、はじめてみる事実でした。映画のことを書くのが趣旨ではないので最後にもう一つの薀蓄を書きます。戦車が出てくる後半の戦闘シーンが1959年に製作されたドイツ映画の「橋」に似ているというか、まったく違うストリー展開ですが映画から受ける印象というかが同じなのです。スピルバーグは「橋」を絶対に見ているなという確信があるのです。映画ファンのどなたかこのことに関して知っていらっしゃる方コメントください。この間新宿の紀伊国屋で「橋」のDVDを売っていました。戦争映画の名作ですので一度見てください。
映画はその国の文化の反映です。「Saving Private Ryan」はアメリカ人にとって家族がいかに大きな意味があるかが分かる一つのサンプルでもあるのです。アメリカが大国として世界をリードできるのは、しっかりとした思想、民主主義などという抽象的な話ではなく、家族こそが社会の最も重要な最小構成単位であるという明確なメッセージを常に発信しつづけて、多民族国家アメリカを強固な統一体としているように思われます。
翻って日本を見ると、家族の崩壊というか、子供が寝ている母親をバットで殴り殺すというような犯罪史上まれな事件の多発、毎年3万人を超す自殺者など、先進国の中ではほとんどないような社会事象が起こっています。最大の原因の一つが、国に家族を社会の最小単位としての認識がなく、個人を社会の最小単位と考えているきらいがあって、結果、家族の解散式をやるというような異常な国になってしまったのではないでしょうか。国家が家族を分けることのできないもっとも大事な社会の最小単位と考えていないからではないでしょうか。例を挙げます。

1カルデロン・ノリコ事件

テレビなどマスコミを通じての知識しかないので間違いがあったらコメントください。ノリコさんの前にも似たような例があって、特別在留許可を与えたことがあったようでしたが、当時の森法務大臣は統一的な基準を法務省内で検討する前に、両親をフィリピンに強制送還しました。ノリコさんひとりを日本に残す決定をあたかも大変に寛大な人道的処置だと、記者会見で述べていたのが印象的でした。これは、法務省が家族という決して分割出来ない社会の最小単位としての概念をまったく持っていないことの証です。ご両親は、不法入国という犯罪以外は犯すことなく、日本社会に受けいれられ働いてきました。働いてきたということは、不法だという人もあるでしょうが、ここは日本に貢献したと考えるべきで、家族は分離できないという原則に立って特別在留許可を与えるべきできでした。残されたノリコさんの気持ちに配慮できない役人ならびに法務大臣の残虐な性はまさに現在日本が直面している家族崩壊の根源です。この話には、続きがあって、確か私の記憶では、法務省がノリコさんのご両親の強制送還の後に、統一見解を発表して、今後似たようなケースがあった場合は特別在留許可を出すが、ノリコさんのケースには遡らないというものでした。法務省はノリコさんの気持ちをまた平気でずたずたに切り裂きました。

2.成田空港入国審査窓口

成田空港の入国手続きは、日本人専用と外国人用の二つのレーンに分かれていて、我々は、日本人専用レーンで手続き窓口にたどり着きますと、国籍法12条で国籍を剥奪された末子と妻は、日本人ではないので外国人レーンに並んでくださいといいます。私、「我々は家族ですので、一緒にお願いできませんか。世界中どこの空港でも入国手続きは家族単位で行われているのではないですか。」入管職員、家族という言葉をはじめて聞いたようにきょとんとして、「外国人用の入国スタンプがおいてないので、お二方は、外国人レーンでお願いします。」我々は4,5分で入国手続きを終えて入国側で待っていますが、二人は1時間を過ぎてもまだ列の真ん中辺です。末っ子のどうして僕だけがここにいなければいけないのかという不安な顔が忘れられません。ようやく手続き窓口にたどり着きましたが、10分経っても手続きが終わりません。窓口に近づくと、入国管理官が、妻に所持金はいくらあるのかとか、帰りの航空券を見せろといっているようです。お金も航空券も私が持っているので、妻は返事に窮していました。私はカウンターに入国手続きの終わったパスポートを置いて、管理官に、「我々は家族です、入国手続きを家族ごとに行えないような世界中にどこもやっていないシステムで入国手続きを行うからこんな混乱がおきるのですから、これからは、日本人用の窓口にも、外国人用の入国スタンプを置いて、家族ごとの入国手続きが行えるようシステムを変えてください。」管理官は無言でしたので、続けて、「入国手続きに、国による差別があるのですか。差別がないというのなら次の方にも同じ質問をするのですね。」と言いました。次の外国人は、ガムをくちゃくちゃかんでいる屈強なアメリカ人と思しき二人組みでした。管理官は無言でした。そそくさと妻と末っ子のパスポートに入国スタンプを押しました。

3.国籍法12条

これはもう家族を狙い撃ちにして破壊するものです。あり地獄に落ちたように親は、子供を助けようともがきますが、もがけばもがくほどずるずると穴の底に落ちるような絶望的な気持ちになります。被害者が最初に子供の国籍を剥奪されたとき、まず冗談だろうと思います。書類の提出が遅れると子供の国籍が奪われるというのは、普通の人の常識の範囲を超えています。国民の生命、財産を守る義務を持った国家が突然牙を剥いて子供に襲い掛かってくるわけですから、はじめの冗談でしょうと言う気持ちは、絶望に変わります。我々国籍法12条被害者の会の全員の子供の国籍は日本国籍とフィリピン国籍が混在しています。いろいろな理由がありますが、最初の子は日本で生まれ日本国籍が取れ、次の子はフィリピンで生まれ、出生届の提出が期限の3ヶ月を何日かすぎてしまって国籍法12条により国籍を剥奪されてしまったというようなケースです。子供の日本国籍を親の過失で失っただけでも親の心痛は余りあるものがありますのに、兄弟の国籍がばらばらでその責任が親にあるのですから親はたまりません。日本国籍を剥奪された子供の気持ちは親以上に傷つけられます。上に述べた入国の際、あるいは、日本に行くときには、彼だけが日本大使館でヴィザを取らなければいけないこと。日本国籍のある子は学校を休んで大使館に行きパスポートの更新をし、彼はその日たった一人で学校へ行くこと。さらに、彼は自分の将来が描けません。長男は、日本人として国連で働きたいとの希望を述べますが、末っ子は、一切そのようなことは言いません。性格は暗くなっています。インターナショナルスクールでは、毎年。国連ディー(UN Day)があって、子供たちは出身国の衣装を着て登校し、各国の料理を供する出店が出ます。ほかの兄弟が着物を着て登校するのに、彼はフィリピンの民族衣装で登校します。彼の心はずたずたに引き裂かれています、それを見る親の心痛はたとえようがありません。このつらさは国籍法12条の被害者にならないと分からないと思います。足を踏んだ人は踏まれた人の痛みを分からないと言いますが、これがまさに我々の気持ちです。さらに国籍が剥奪されるだけでなく、戸籍に載らないため、彼が、遺産分配等で不利益をこうむるのが、また親の心痛を増幅します。

社会の最小単位を家族として、これは絶対不可分だと言う原則を国がしっかり持ち、そのメッセージを絶え間なく国民に送ることが家族の崩壊を防ぐ唯一の方策ではないでしょうか。上の3つの例でも法務省は、法律を改正せずに次のことができるのではないでしょうか、ご検討ください。

1. ノリコさんのご両親に在留特別許可をさかのぼって与え、政務三役がポケットマネーでご両親の日本までの旅費を負担する。
2. 成田空港の日本人専用窓口に外国人用の入国スタンプを置いて家族ごとの入国審査に改める。
3. 国籍法17条の要件(生活の本拠が日本、6ヶ月以上の継続した滞在)を撤廃し、国籍法12条の被害者の国籍回復を可能にする。

千葉景子法務大臣へ:国籍法12条撤廃11.13アピール

国籍法12条撤廃11.13アピール

千葉景子法務大臣

日本の最高裁は2008年6月、「両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない国籍法3条の規定は憲法違反」として、日本人男性と外国人女性の間に生まれた非嫡出子について、父親に認知された子どもの日本国籍取得を認める判決を言い渡しました。そして、同年12月には判決に沿って国籍法が改正され、非嫡出子であっても父親に認知されれば、両親が結婚をしなくても、日本国籍を取れるようになりました。

その一方で、国籍法と戸籍法には、「不留保による国籍喪失」(国籍法12条、戸籍法104条)という問題が依然残っています。この制度は「出生により外国籍を取得した日本国民で、国外で生まれたものは、出生後3カ月以内に日本国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生時にさかのぼって日本国籍を失う」というものです。

われわれの子弟も国籍法12条により日本国籍を失いました。そのため、国籍法12条被害者の会ならびに国籍法12条撤廃連絡協議会を設立して国籍法12条による被害者を救済すべく活動を行っています。政権は交代しましたが、今回、中村てつじ法務省政務官とのメールのやり取りならびに政務官のブログ国籍法17条の解釈について(国籍法12条撤廃連絡協議会)から、法務省は、国籍法12条の被害者は、国籍法17条で救済されるとして国籍法の改正は考えていないことが判明しました。法務省は、国籍法17条に法律には書いていない「生活の本拠が日本にあること」同時に、「最低6ヶ月以上継続して日本に住むこと」などの要件を付与して、海外に生活の拠点を持つ海外居住者の子女の国籍の回復を不可能にしています。これらの要件を記述したものはまったくなく、官僚の裁量ですべてが決まり、国籍が認定されないときにはその理由は開示しないと大変に強圧的なものです。認知の子の場合は、日本に帰ることなく国籍の回復が可能なことを考えると、嫡出子と婚外子の間に著しい差別が存在しています。

国籍法12条は、親の過失ともいえない過失(出生届提出の遅延)に対し、子供の国籍を本人の意思に関らず剥奪するだけでなく、嫡出子である子の戸籍への記載の拒否という非人道的な法律で、憲法13条【個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重】、第14条【法の下の平等】ならびに、世界人権宣言第15条【何人も、ほしいままにその国籍を奪われない】に違反しているのは明白です。
今回、在比各マスコミの代表者と国籍法12条撤廃連絡協議会ならびに国籍法12条被害者の会による合同懇談会に際し、以下のアピールを宣言します:

1. 国籍法12条の違憲性、非人道性を認め、撤廃すること。
2. 国籍法12条の被害の規模の調査に直ちに着手すること。
3. 国籍法12条が撤廃されるまでの間、国籍法12条の執行を停止すること。(3ヶ月を過ぎた出生届を受理し、国籍を付与し、戸籍への記載を行う)
4. 国籍法12条が撤廃されるまでの間、国籍法17条に法務省が付与した要件(生活の本拠が日本にあること、最低6ヶ月以上の継続した日本への居住等)を撤廃し、速やかに国籍の回復を行うこと。


2009年11月13日
於けるマニラヨットクラブ

国籍法12条撤廃連絡協議会議長
丸山峯男
http://12jouteppai.blog.so-net.ne.jp/

法務省政務官中村てつじ氏の国籍法17条の見解

法務省政務官中村てつじ氏からメールをいただきました。ありがとうございます。メールには見解はなく、氏のブログに見解を載せましたというのであけてみました。本質である、国籍法17条は海外在住の日本人の子が国籍法12条で国籍を剥奪されたときに救済できるのかという疑問に対する答えはなく、私が書いた「永住を前提として」と「生活の本拠が日本にある」の言葉のレトリックの問題にすりかわって、「永住を前提として」と言えば一般職の公務員が権限を越えて、法律にはない要件を作り出していることになりますが、「生活の本拠が日本」はよいとの見解でした。
私が「国籍法17条のまやかし2」に書きましたように、「永住を前提として」と「生活の本拠が日本にある」は同義です。言葉を入れ替えても、文意は変わりません。
私は、2度ほど国籍を剥奪された子を連れて相談員のところに行っていますが、何しろ書いたものがないので、こんなやり取りになります。
相談員、「国籍再申請をするには、まずご家族で長期間日本に住むことが必要です。」 私,「長期間というのはどのぐらいですか。」、相談員、「はっきりとしたきめはありませんが、最低でも6ヶ月以上継続して住むことが必要です。」、私、「4人の子供は、日本国籍を持っていて、現地のインターナショナルスクールに通っているのでその世話があり、妻は現地にとどまらなければならないのですが。」、相談員、「奥様も一緒に住んでもらいます。途中で帰国することは望ましくありません。」、私、「望ましくないといっても、こちらにも事情があるので、何か国籍の再取得を申請するための要件を書いたものはないのでしょうか。」相談員、「ございません。」、私、「これでは、よくわかりません。永住を前提に帰国して申請しろということなのですか。」相談員からの明確な返答はなかったが、最後にこういいました、「申請した全員が自動的に国籍を認められるわけではなく、その場合には、理由は教えません。」
といううわけで、国籍再申請の要件を書いたものはまったくなく、すべては官僚の裁量で決められ、国籍を認めなかったときには、その理由は開示しないという強圧的なものです。
何も書いたものがなく、私の「永住を前提にして」に明確な回答がないため、『国籍法17条のまやかし』の中では、「永住を前提として」を使っただけで、その後、法務省のQ&Aで「生活の本拠が日本にある」を見つけ、『国籍法17条のまやかし2』を書いたわけです。
国籍再取得のための要件を書いたものがないのが問題なのです。「生活の本拠が日本にある」とはどういうことなのか文書にして窓口で配布すべきではないでしょうか。中村政務官のメールには、「例えば、日本人の子で、日本の中学校や高校に通う場合には、「生活の本拠」 が日本にあることは明白です。」とありました、このような具体的な要件を文書にしていただければ、われわれ海外在住の国籍12条の被害者の国籍回復の手立てとなります。また、今でも、国籍取得申請を却下したときには、その理由はいわないというのでしょうか。国民目線の民主党が政権を取ったのですから、直ちに理由を開示することを確約してください。氏は、ブログの中で、「永住を前提として」といえば一般職の公務員が権限を越えて、法律にはない要件を作り出していることになりますが、「生活の本拠が日本」はよいとしていますが「生活の本拠が日本」も法律にはない要件を作り出していることになりませんか。 

国籍法17条の日本に住所を有するは、海外から転入して住民票があればいいのではないでしょうか。なぜ日本に生活の本拠を持たなければならないなどと法律に記述のない制限を加え、海外居住者の子女の国籍回復を不可能にしているのでしょうか。特に認知の子の場合は、日本に帰ることなく国籍の回復が可能なことを考えると、嫡出子と婚外子の間に著しい差別が存在しているのではないでしょうか。
生活の本拠を日本におくという前提での国籍法17条では救済にならないというと、海外にいてなぜ日本国籍がいるのか理由をいえときます。国籍は一定の要件を満たせば理由の有無にかかわらず付与されるものではないでしょうか。われわれは日本国籍を持っていますが、一度も日本国籍が要る理由を聞かれたことも理由を述べたこともありません。認知によって国籍を取得した子も日本国籍が要る理由など聞かれません。国籍を持つ資格(国籍法2条のように両親の片方が日本人ならばその子は日本国籍を有する)があれば国籍は付与されるのであってその必要性を説明する理由などどこにもありません。わたくしの5人の子のうち4人は認知で日本国籍を、国籍を有することの必要性を説明することなく付与されています。どうして嫡出子の子だけは、国籍取得の必要性を説明しなければならないのでしょうか。
国籍法12条の目的は何なのでしょうか。重国籍を避けるなどは理由にもなりません。認知の子で海外に住む子はほとんど重国籍者です。国籍法14条による22歳での国籍の選択で十分ではないでしょうか。ご説明ください。国籍の留保の合理性はどこにあるのですか。留保期間はなぜ3ヶ月なのですか。留保期間と出生届の提出期限を一緒にする理由などあるのでしょうか。ご教示ください。

中村氏が国籍法12条の非人道性を理解して、鳩山首相のいう友愛社会の実現への第一歩に棄民政策の亡霊ともいうべきこの国籍法12条改正を選択していただけることを切に願っています。

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