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第1回口頭弁論意見陳述その3- 丸山峯男

裁判長、
 私は、原告の一人丸山ダイチの父親です。原告の父親として、意見陳述します。
ダイチを含め3人の原告とも、兄弟姉妹が日本国籍を持っています。同一兄弟姉妹の中に違う国籍が混在しています。 これは、兄弟姉妹間の意識あるいは家族としての一体感に大きな影を落としています。
日本国籍を失った子どもたちは、一切の過失を犯していません。
日本国籍を失うという罰を受ける理由もありません。
国籍法12条は、親の過失とも言えない過失に対し、親を罰せずに無実の子どもの国籍を剥奪するという不当なものです。いったん付与された国籍は、その本人が離脱を申請しない限り、何人もその国籍を剥奪することができないと言うのは世界的に認識されている法理ではないでしょうか。
私の5人の子のうち4人は、私の正式な結婚の前に生まれた認知の子です。認知の子については国籍法12条が適用されないため、届出だけでほぼ自動的に日本国籍が付与されました。
ダイチは私の正式な結婚後に生まれた嫡出子です。嫡出子であるがために国籍法12条の適用を受け、本来生まれた時点で日本国籍を持っているのにもかかわらず、兄弟の中で唯一人、日本国籍を失いました。これは大きな矛盾ではないでしょうか。私が正式な結婚をしなければ、ダイチは日本国籍をもらえていたはずで、結婚をしたがために子どもが国籍を失ってしまったなどという法律のどこに合理性があるのでしょうか。国籍法12条は結果として日本国籍を間引く目的で作られた法律ではないのでしょうか。国籍を間引くことのどこに正義があるのでしょうか。
家族の一体感は失われ、子はなんで自分だけ国籍を失ったのかと親に不信感を抱き、親は子を何としても救わなければと心労を重ねます。親にとって、子どもが平等でないことほど辛いことはありません。日本国籍を失った子が自分の人生設計を他の兄弟と同じにできないことを知っているために、親の苦しみは大変に重いものとなっています。
親の過失なのですから、親を罰して欲しいというのが我々原告の父親全員の気持ちであります。なにとぞ子どもたちの日本国籍を認めて頂きたくお願い申し上げます。
最後に一言だけ、国籍法17条について意見陳述を行います。
国籍法17条は、国籍法12条で日本国籍を失ったもので、20歳未満のものは、日本に住所を有すれば法務大臣に届出をすることで、日本国籍の取得ができるとしていますが、法務省は、これに法律にない要件をつけて国籍の回復がほぼ不可能としています、その一つが、「日本に生活の本拠を有していること」であります。どういう場合に、法務省が、日本に生活の本拠を有していると判断するかを記述したものはなく、すべてが、官僚の恣意により国籍の授与が行われています。その2は、「日本に6ヶ月以上継続して住まなければならない」です。また、最後に法務省の役人は、こう言います、「たとえ国籍取得の申請が受理されたとしても、全員が国籍の取得ができるといううわけではなく、国籍が取得できなかった理由は開示しない」です。これらは、海外に生活の拠点を持つ我々にとっては、国籍再取得がほぼ不可能であることを意味するだけでなく、たとえ、法務省が上記3つの要件を排除したとしても、非嫡出子が、認知により国籍を取得する場合は日本に住むことなく、住所のある国の大使館に届出をすればよいことと比べ合わせれば、著しく不公平なものです。
国籍法12条は、親の過失ともいえない過失(出生届提出の遅延)に対し、子供の国籍を本人の意思に関らず剥奪するだけでなく、嫡出子である子の戸籍への記載の拒否という非人道的な法律で、憲法13条【個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重】、第14条【法の下の平等】ならびに、世界人権宣言第15条【何人も、ほしいままにその国籍を奪われない】に違反しているのは明白です。我々は、本人の意思を確認することなく国籍を剥奪する国籍法12条だけでなく、国籍法17条も嫡出子、非嫡出子を差別するもので憲法に明白に違反するものと考えています。
どうぞ今回の裁判を通じて、正義を実現していただきたくお願いいたします。


第1回口頭弁論意見陳述その2- Hiroko Ishiyama

Let me start by saying I have been influenced by the Japanese culture through my father since I was small until now. I am Japanese by heart and by blood – My father is Japanese and I believe I have the right to be Japanese by paper. My younger sister Chieko Ishiyama has the same blood, and she is a Japanese citizen, when I was growing up, it hurt me so much when people assume that I was adopted by my parents because they had the knowledge that my younger sister is a Japanese citizen and I am not. I grew up believing that someday I would have the chance to be a Japanese citizen not just by heart nor by blood but also by paper. Now I have my chance to become a Japanese citizen.
In the past month, I have been preparing myself to go to Japan and prove myself to the nation of rising sun that I am ready to become one of its proud members, but, it depresses me when I heard that the government of my home country is hesitant to give me what is rightfully mine. I will remind you again that I am Japanese by blood and it pains me to hear that adopted children of other Japanese who married a Filipina with Filipino children was able to make those children Japanese. Isn’t this unfair? I who have a real blood of Japanese can’t be Japanese while people or a child who doesn’t even have a single percentage of Japanese blood can. I may not speak Nihongo fluently but I did not do anything wrong for me not to have what is rightfully mine. I have the right to be proud of my country. I have admired Japan for its rapid economic progress. I admire the Japanese culture for its conservatism and undisputed quality. Japan is my mother country, I believe this to be true in my heart but as long as I am a Filipino citizen I do not have the right to call Japan as my own. I wish to be part of the great nation that is Japan because I want to be proud of my country. I want to be proud to say where I am from and what my nationality is because as a Japanese citizen I believe I can use my potential fully in any venture that I will pursue because of the fragrant reputation that the Japanese people emit in a global scale.
Hiroko Jennifer Ishiyama

石山ジェニファーの意見陳述書(翻訳)

私は父を通じて小さいときから今まで、日本文化の影響を受けて育ってきました。 私の父は日本人です。私は、日本国の法律により日本国籍を持つ資格があると信じています。私の妹の石山チエコは、私と同じ父母の子で日本国籍を持っています。このことは、私が物心がついたころから、ずっと私の気持ちを傷つけてきました。特に傷ついたのは、周りの人が、私は、父の子でなく養子だと言っているのを聞いた時でした。
私は、いつか、私が、日本人の心と血を持っているということでなく、日本国籍が法的に認められることをずっと信じてきました。そして今、その機会が巡ってきました。
今までずっと、私は、日本へ行って、私が日本人であること、私が、誇りある日本国の一員になる心構えができていることを証明したいと思っていました。しかし、国が、私が日本人であることを認めようとしないことを知ったときには、私の心は悲しみで一杯になりました。
私はここで、もう一度心の底から、私は日本人ですと言いたいと思います。
認知の子が申請により日本国籍がもらえると知って私の心は痛みました。 これは不公平ではないでしょうか。私は、両親の正式な結婚によって生まれた子です。日本人の血を持っています。私の日本語は今は達者ではありませんが、私は、これが私が本来持っている日本国籍を回復する妨げになるとは思いません。
私には自分の国(日本)を誇りに思う権利があります。私は、古を尊び、繊細な日本文化を尊敬しています。日本は私の母国です。私の気持ちは日本人であることに疑いの余地はありません。それなのに、私は、フィリピン国籍のために日本を私の国とは呼べないのです。私は私の国に誇りを持っているがゆえに日本国の一員となりたいのです。私は皆に誇りを持って、私の出自がどこなのか、私の国籍はどこなのかを宣言したいのです。
私は、私の持つ日本人としてのすべての可能性を、国際的に評価されている日本人同様に発揮できると信じていることを述べて私の意見陳述を終えます。


第1回口頭弁論意見陳述その1- Daichi Maruyama

国籍法12条違憲訴訟の第1回口頭弁論が4月21日に東京地裁で開かれ、2人の原告の子とその父が意見陳述を行いました。以下が原告、Daichi Maruyamaの意見陳述の内容です。

Statement by Daichi Maruyama

Mr. Chief Justice,
This is to tell my opinion about my nationality. I have two brothers and two sisters who are Japanese.They have Japanese Passports but I don’t have a Japanese Passport.
Why am I not Japanese?
I heard that my father submitted all necessary documents to certify my Japanese nationality simultaneously with my brothers and sisters and submitted in accordance with Japanese Embassy’s advice.
I heard that the delay of the submission of the documents was late a few days, which is my father’s mistake not mine.
My father’s mistake is not a mistake because people cause such mistakes by different reasons.
This can’t be a reason of my loss of my Japanese nationality as I have not done any violation of Japanese laws. Why such mistake done by my father resulted in the loss of my Japanese nationality? Why my brothers and sisters received Japanese nationality? I need a fair treatment.
The problem without my Japanese nationality I face now is that each time I come to Japan to meet my grandmother, I need to go to Japan Embassy to receive a visa which takes a long time and lots of documents requested to be submitted and the days I stay in Japan is also very limited which is 15 days while my siblings can stay in Japan as long as they want. I need a fair treatment.

If I receive Japanese nationality I will fully utilize my capacity as a Japanese and will come to Japan to learn how to speak Japanese, and learn its culture. And I will work for Japan internationally.
I believe fair judgment will be given to me and my Japanese Nationality will be recovered.
Thank You.

Daichi Maruyama 意見陳述書(翻訳)

裁判長、
私の国籍についての私の意見を述べます。 私には2人の兄弟と2人の姉妹がいます。彼らは日本人で日本のパスポートを持っています。私はフィリピン人で日本のパスポートがありません。 どうして私だけ日本人ではないのでしょうか。
私の父が、私の兄弟姉妹と私の日本の国籍を証明するためにすべての必要な文書を日本大使館の助言に従って堤出したと聞いています。 私は、父による文書の提出が数日遅かったことを聞いています。これは私のミスでありません。 人は異なった理由でそのような間違いを引き起こすのではないでしょうか。父の間違いは間違いと呼べるものではありません。 私は何の法律違反も犯していませんので私が日本国籍を失う理由はありません。父の間違いともいえない間違いが、私の日本の国籍喪失の理由となるのでしょうか。同時に書類を提出した私の兄弟姉妹が日本の国籍をなぜもらえたのですか。 公正な処置をお願いいたします。
私が日本国籍を持っていないための現在の問題は、私が祖母に会うために日本に行こうとするたびに日本大使館でビザの申請を行わなければならないことです。ビザの取得のためには大変に時間がかかるだけでなく多くの文書の堤出が要求されます。また私の兄弟が好きなだけ日本にとどまることができるのに、私の滞在は最長でも15日です。公正な処置をお願いします。

日本国籍が付与された暁には、日本に行き日本語や日本の文化を学んで、私の持つすべての能力や可能性を十全に生かして、日本のために国際的に働こうと思っています。

私は裁判で公平な判断が行われ、、私の日本の国籍が回復されることを信じています。
ご清聴ありがとうございます。




国籍法12条違憲訴訟の第1回口頭弁論

国籍法12条違憲訴訟の第1回口頭弁論の日時が決まりました。4月21日午前11時です。場所は、東京地方裁判所第705号法廷です。
東京地方裁判所の地図は、
http://www.courts.go.jp/tokyo/about/syozai/tokyotisai.html 
です。
傍聴について主任弁護士のK藤氏にお聞きしたところ、「裁判の傍聴はもちろん可能です。特に傍聴券などは要りません。時間に法廷に行けば(法廷は出入り自由です)、誰でも見ることができます。」とのことです。午前11時前までに東京地方裁判所に入館下さい。
これはブログ記事、「4月21日午前11時」のリマインダーです。詳細は「4月21日午前11時」をダブルクリックしてください。

カルデロン・ノリコさんについての国連人権理事会特別報告者の発言

時事通信は、2010年3月31日付の記事で、国連人権理事会のホルヘ・ブスタマンテ特別報告者の記者会見を以下のように報じた。

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%a5%ab%a5%eb%a5%c7%a5%ed%a5%f3&k=201003/2010033100833

「日本国内の移民の人権問題を調べるため来日した国連人権理事会のホルヘ・ブスタマンテ特別報告者は31日、 都内の国連大学で記者会見し、あくまで「予備的な勧告」と断りつつも「国籍に基づく人種主義、差別意識は 日本にいまだ根強い」と指摘、人種差別防止に向けた法整備を求めた。
(中略)
さらに、両親が不法滞在で強制退去を命じられたフィリピン人一家の中学生カルデロン・ノリコさんの例などを念頭に
「日本で生まれ10~15年間暮らしていた子供の親が強制退去処分となり親子が離れ離れになった数々の実態を聞いた」と強調。 子供の利益を優先し「家族は分離されてはならない」と訴えた。」 (太文字は筆者による)

私は、私のブログの記事「Saving Private Ryan」で、カルデロン・ノリコ事件について、以下のように述べました。

「テレビなどマスコミを通じての知識しかないので間違いがあったらコメントください。ノリコさんの前にも似たような例があって、特別在留許可を与えたことがあったようでしたが、当時の森法務大臣は統一的な基準を法務省内で検討する前に、両親をフィリピンに強制送還しました。ノリコさんひとりを日本に残す決定をあたかも大変に寛大な人道的処置だと、記者会見で述べていたのが印象的でした。これは、法務省が家族という決して分割出来ない社会の最小単位としての概念をまったく持っていないことの証です。ご両親は、不法入国という犯罪以外は犯すことなく、日本社会に受けいれられ働いてきました。働いてきたということは、不法だという人もあるでしょうが、ここは日本に貢献したと考えるべきで、家族は分離できないという原則に立って特別在留許可を与えるべきできでした。残されたノリコさんの気持ちに配慮できない役人ならびに法務大臣の残虐な性はまさに現在日本が直面している家族崩壊の根源です。この話には、続きがあって、確か私の記憶では、法務省がノリコさんのご両親の強制送還の後に、統一見解を発表して、今後似たようなケースがあった場合は特別在留許可を出すが、ノリコさんのケースには遡らないというものでした。法務省はのり子さんの気持ちをまた平気でずたずたに切り裂きました。」
私のブログとまったく同じ趣旨の発言を国連人権理事会の特別報告人がしていましたので、ここに再録しました。

アメリカのワシントン大学に2年、その後国際機関勤務などで24年海外暮らしをしていましたので(毎年必ず一度は日本へ帰ってはいましたが)どうも最近の日本人の考え方に違和感を感じていました。まあ日本人の考え方といいましても、インターネットのブログ記事に匿名で書いている無責任なものがほとんどですが。国籍法12条にしろ、カルデロンさんのケースにしろ、私の知っている日本人なら、長屋のおかみさん風に言うと、こうなります;
「やいやい、役人だかごまのはえだか知らないが、女子供をいじめるんじゃないよ。子供を親から引き離すなんて、よくもそんな阿漕なことができるもんだね、お前の親の顔が見たいもんだね、それともあんたは、木の枝のまたぐらから生まれてきたとでも言うのかい。血も涙もないことして、ちっとは恥ずかしいとは思はないのかい。このおたんこなす。」

鳩山総理は、閣内に人権問題を担当する部局を創るようなことを言っていたように思うのですが、どうなったのでしょうか。民主党政権は、改革をする政権といっていたような気もしますが、政権をとって以来、全く何のアクションもないのは驚くばかりです。政治主導といっていたのはどなたでしたか。この国連特別報告人の発言についてもただただ無視をしていくだけなのでしょうか。

私は、「Saving Private Ryan」の最後にこう書きました。
「社会の最小単位を家族として、これは絶対不可分だと言う原則を国がしっかり持ち、そのメッセージを絶え間なく国民に送ることが家族の崩壊を防ぐ唯一の方策ではないでしょうか。上の3つの例でも法務省は、法律を改正せずに次のことができるのではないでしょうか、ご検討ください。

1. ノリコさんのご両親に在留特別許可をさかのぼって与え、政務三役がポケットマネーでご両親の日本までの旅費を負担する。
2. 成田空港の日本人専用窓口に外国人用の入国スタンプを置いて家族ごとの入国審査に改める。
3. 国籍法17条の要件(生活の本拠が日本、6ヶ月以上の継続した滞在)を撤廃し、国籍法12条の被害者の国籍回復を可能にする。 」

2番めの成田空港の入国審査は改善が見られました。もし改善が一時的でないのなら、法務省の、政務官、副大臣、大臣に感謝いたします。1と3もやっていただけたらもっと感謝いたします。

と書いたところで、4月18日成田入国の際に、以下のトラブルが起こりました。
(あとがき)
4月18日に成田空港でダイチと一緒に日本人用ブースで入国手続きをしましたが、前々回と同様のトラブルが生じ、法務省が、まったく入国に関しての改善を行っていないことが分かりました。
(入国審査官)「次回は、お子さんは外国人ですから、外国人用ブースで入国手続きをお願いします。」
(私) 「ダイチは、私の子ですから家族として入国手続きをしていただけないのですか。」
(入国審査官)「ほかの日本人の方の迷惑になりますので、外国人用ブースでお願いします。」
(私)「家族が家族として入国審査を行っていることが迷惑になるとは思えません。ダイチは12歳ですから一人で外国人ブースに行かせることはできません。」
(入国審査官)「あなたも一緒に外国人用ブースのほうへ行ってください。」
(私)「日本人の私が何で外国人ブースで入国手続きをしなければいけないのですか。」
(入国審査官)「………」(沈黙)
ダイチと私の入国手続きは、この議論の前に終わっていました。この無駄な議論で5分ほど無駄な時間を費やしてしまいました。法務省はこのような簡単なことの改善もできないのかと驚くばかりです。


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